大阪市都島区の大阪精密入れ歯治療室。治療用義歯を自由診療で作る意味について。

治療用義歯（仮の入れ歯）は保険では作れません。

当院では、最終の義歯を作る前に治療用義歯を製作しております。時々、健康保険で治療用義歯を製作して、お金を節約し、自由診療で最終義歯を作りたいと希望される患者さんがいらっしゃいますが、基本的にはお断りしております。その理由について、説明していきます。

混合診療となり違法です。

入れ歯は、歯の欠損という状態を治療（リハビリテーション）することです。その「歯の欠損」の治療の一連の流れの最初は健康保険を使って、途中から自由診療に変えるというのは、混合診療にあたり違法になる可能性があります。

また、治療用義歯という項目自体が健康保険診療の中にありません。

健康保険では、使えるパーツの制限が多すぎます。

治療用義歯の大きな目的は、最終の入れ歯をどういう設計にすれば、快適に使えるか調べることです。当院では、治療用義歯の段階で最終の入れ歯を想定した入れ歯の設計を行い、修正点を踏まえて最終の入れ歯を作ります。

その際、健康保険の入れ歯は、使える材料やパーツが非常に少なく制限されています。そのため、健康保険の入れ歯では、自由診療用のどのパーツがその患者さんに合うかという検証が出来ず、最終の入れ歯の設計の参考に全くなりません。

自由診療用のパーツを使えば、全ての問題が解決するという単純な話でもありません。ぶっつけ本番で自由診療で入れ歯を作ると、せっかくお金をかけたのに、結局違和感だらけで使えないという事態になる可能性があります。

自由診療で入れ歯治療を行う価値は、自由診療用のパーツや材料を使うことではなく、快適な入れ歯を手に入れることて快適な生活を送ることだと思います。快適な入れ歯を手に入れるための方法を疎かにしては、結果は出ません。

結果を出すために、必要な処置だとお考え下さい。

「腕が良いなら、一発で快適な入れ歯を作れるはずだ。」と主張される患者さんもいらっしゃいます。規格化された工業製品の修理ならともかく、人体は全ての方で異なっており、完全オーダーメイドしなければいけません。

残っている歯の状態・歯ぐきの状態・骨の形・筋肉の動かし方・顎の関節の状態・舌の状態・唇の位置や動き・食べ物の好み・気持ち悪さを感じる神経の分布・見た目の好みなど、無数に条件があり、1億人いれば、1億通りのお口があります。それぞれの患者さんのお口の特徴を数回診ただけで全て見極めることは不可能です。歯科医師は神様ではありません。

もちろん、こういう設計にすれば上手く行きやすいという定石はありますが、実際は、例外だらけです。実際の臨床では、現代の医学ではまだ解明されていない問題にも沢山遭遇します。

歯を生やすわけではありませんので、100点満点の入れ歯というものは、存在しません。治療用義歯は、70点の定石入れ歯のクオリティを90点以上にしていくために必要な治療だと考えていただきたいと思います。