総入れ歯の前歯はかなり自由に作れるので、好みの見た目に出来ます。
総入れ歯になると、歯が全くない状態になってしまいます。入れ歯を安定させるために、人工の歯を植える位置について、決まりごとはあり、特に総入れ歯でのかみ合わせの配置は非常に重要です。
しかし、前歯に関しては、設計上ある程度自由に作ることが出来るため、患者さんの理想の見た目に近づけることが出来ます。
例えば、歯があったときのご自身の歯に似せて欲しいという要望もあれば、アイドルや俳優の歯並びに似せて欲しいという要望まであります。当院では、可能な限り、理想に近づくように調整致します。
総入れ歯は見た目に関してブリッジやインプラントより有利です。
ブリッジやインプラント(固定式ブリッジ型)は、元々の歯の位置や歯ぐきの形に大きく影響を受けます。歯並びを大きく変えたり、歯ぐきの形を変えることは不可能か出来ても限定的です。
インプラント(着脱式入れ歯型)は、ブリッジやインプラント(固定式ブリッジ型)よりは自由度は高いですが、インプラントの近くに人工の歯を配置することは難しいので、総入れ歯と比較すると自由度が下がります。
総入れ歯の場合、前歯の位置や歯ぐきの形について大きな制限はありません。 そのため、患者さんの理想の歯や歯ぐきのイメージに最大限近づけることが可能です。
総入れ歯の前歯で調整できること。
患者さんのお顔やお口に合いそうな人工の歯と歯並び、歯ぐきの形を提案させていただき、完成前の仮合わせの段階で実際に確認していただきます。その上で、修正が必要であれば修正し、問題ないことを確認してから入れ歯を完成させます。
総入れ歯の前歯に関することでは、以下のようなことを調整可能です。
人工の歯のサイズ・形
歯の形により、お顔のイメージが大きく変わります。例えば、男性は少し角張った歯の形にして強そうな雰囲気を出したり、女性は丸みを帯びた歯の形にして優しそうな雰囲気にしたりします。また、歯のサイズも大きいと元気で活発なイメージになり、小さいと繊細なイメージになります。お好みの雰囲気を確認した上で、調整させていただきます。
人工の歯の色
歯の色は、明るさ・色見で沢山の種類があります。明るさは、真っ白なものから濃い色まで複数の段階があり、また色見は赤っぽかったり黄色っぽかったりと患者さんの肌の色に合うような色を一般的に選びます。患者さんのご希望を踏まえながら、色を調整させていただきます。
人工の歯の歯並び
歯並びは非常に大事で、同じ人口の歯を使ったとしても、並べ方で随分と印象が変わります。歯を整列させると、きれいにそろって見えますが、立体感がなく獅子舞のようになってしまうこともあります。ある程度、歯並びを立体感をつけるように乱れさせた方が自然に見える場合も多いです。また、歯のちょっとした角度の違いですら、表情に違いが生まれます。当院では、入れ歯の仮合わせの時に患者さんに歯並びを見てもらいながら、0.1㎜単位で歯科技工士がその場で微調整を行っていきます。
歯の見え方
笑ったときに唇から歯がどのように見えるかということは、見た目として非常に大事です。歯が見えにくいと一般的には落ち着いた雰囲気になり、やりすぎると老け顔になります。歯が見えやすいと明るく元気な印象になりますが、やりすぎると下品になります。何事もバランスは大事ですが、患者さんのお好みを踏まえて、調整していきます。
歯ぐきの見え方
大きく笑ったときに。歯だけでなく歯ぐきまで見えることを専門的に「ガミースマイル」と言います。ガミースマイルは、一般的にはあまり見た目として良くないとされています。唇の動き方により限度はありますが、歯と歯ぐきの長さの比率を調整したり、上下の歯の位置関係を上下的に調整することで、可能な限り美しく見えるように調整致します。
前後的な歯の出っ張り・お口元の張り
お口の中には歯と歯ぐきがあり、唇は歯と歯ぐきの上に乗っかってその形に強く影響を受けます。入れ歯の歯や歯ぐきの部分の前後的な位置により、鼻の舌から唇の張りに大きく影響します。 一般的には、お顔を横から見たときに鼻と唇と顎先が一直線(エステティックラインと言います)に並んでいる(エステティックラインと言います)状態が美しいとされています。
また、張りを強くすればほうれい線などのお口周りのしわは減りますが、出っ歯傾向になります。張りが少なすぎると、皮膚がたるんでしわが増えてしまいます。バランスを取りながら、入れ歯を調整していきます。
出っ歯や受け口の修正
元々のご自身の歯があったときに出っ歯だったり、受け口だったりする場合でも、総入れ歯にした時はある程度修正することが出来ます。但し、上下の顎の骨の位置関係は変わらないため限界はありますが、多くの場合は元々より改善されます。