当院では、全ての部分入れ歯の設計が可能です。
部分入れ歯について、例えばノンクラスプデンチャーやアタッチメント義歯など、色々な種類があるように見えます。下手をすると、何か特殊なブランドのようなものがあるようにすら思えてしまうような記事を見ることがあります。しかし、本質的にはそれぞれ部分入れ歯のパーツを組み合わせているだけで、一つの入れ歯に複数の要素を入れ込むことが可能です。下に記載するようなパーツをそれぞれ選んで、複合させていきます。当院では、入れ歯に関して使えないパーツや、出来ない治療法は基本的にありませんので、相談の上、患者さんに最も良い設計を提案するように致します。
維持装置(部分入れ歯の固定のパーツ)
維持装置は、入れ歯が顎から外れないように歯に固定する装置です。維持装置には、金属のクラスプ・プラスチックのウイング・アタッチメントなどがあります。
金属のクラスプ
いわゆる針金を歯に引っ掛ける装置です。一般的なエーカースクラスプ・ワイヤークラスプ・Iバー・Tローチバーなどから、バックアクションクラスプ・リングクラスプ・ハーフアンドハーフクラスプなど色々なタイプがあります。金属なので、まげて調整することが出来、強度も高く性能も比較的良いものが多いです。但し、目立ってしまうという最大の欠点があります。逆に言えば、目立たない奥歯であればこのパーツを使えば良いということになります。
プラスチックのウイング
ノンクラスプデンチャーと言われる入れ歯のパーツです。プラスチックの羽のようなパーツで歯を挟み込みます。見た目は良いですが、性能やクラスプに劣ります。
アタッチメント
アタッチメントは歯自体に特殊なパーツを埋め込んだ維持装置です。歯の根っこの表面に付ける根面アタッチメント(磁性アタッチメント・Oリングアタッチメントなど)やかぶせ物に付けるタイプ(レールアタッチメントなど)、テレスコープタイプなどがあります。色んなメーカーが作っており、多種多用ですが、大抵のものはウイングよりさらに見た目が良く、しっかり固定されますが、複雑構造なのでコストがかかりがちです。
まとめ
- 性能重視・奥歯 → 金属のクラスプ
- 見た目を優先したい歯 → プラスチックのウイング
- ウイングよりさらに見た目を重視したい歯 → アタッチメント
- 根っこだけの歯を有効活用したい → 根面アタッチメント
連結装置
入れ歯のパーツを連結する装置です。主に強度と違和感・発音に関するパーツです。基本的には、金属で薄く作ると違和感が少なくなりやすいですが、人によって差が出ます。パーツの形については、個人差が大きく、治療用義歯でどんな形がいいか見極める必要があります。
当院では、薄くして違和感を少なくすることを基本にし、オーダーメイドしていきます。
入れ歯の内面(硬いか柔らかいか)
入れ歯のピンクのプラスチックの部分を硬いプラスチックのままにするか、裏に柔らかい材料を付けるか選べます。基本的には、耐久性を考えれば、硬いプラスチックが圧倒的に有利です。噛んだ時に痛みがなければ、絶対にこちらがよいでしょう。様々な事情により、噛んだ時に歯ぐきに痛みが出やすい場合は、内面に柔らかい材料を付けることもできます。柔らかいプラスチックとさらに柔らかいゴムがあります。
硬いプラスチック
強度が非常に高いプラスチックです。削って微調整が出来ます。これで痛くない場合は、絶対にこの素材が良いです。殆どの方がこの素材で作っています。
柔らかいプラスチック
プラスチックなので、入れ歯の硬いプラスチックと科学的に引っ付くため、強度がありますが、やはり劣化してきます。数年すると、ひび割れてきたりしますが、使用上はそこまで問題ありません。付けなおしの処置がどこかで必要になってきます。柔らかいと言っても、そこそこの方さはあるので、削って微調整が出来ます。当院では5人くらい使っています。
柔らかいゴム
ゴムはプラスチックとあまり引っ付きません。使っていると、境界部分からはがれてちぎれます。柔らかいプラスチックよりさらに柔らかいので、痛みが出にくく感じるかもしれませんが、柔らかすぎて削れないので、案外、良くない場合もあります。当院では、まだ1人にしか使っていません。
人工歯
入れ歯の歯の部分を人工歯といいます。人工歯にも種類はあるのですが、当院では硬質レジン歯という歯のみを使っています。単純に、性能が他の素材より圧倒的に優れているためです。
硬質レジン歯
プラスチックとセラミックを混ぜ合わせた材料で作る人工歯です。製品の種類もとても多いです。安価で耐久性の低いものもありますが、自由診療用の高性能なものは見た目が天然の歯に近く、強度が高く、変色しづらいです。 当院では、何種類かの硬質レジン歯を状況によって使い分けています。
レジン歯
プラスチック製の歯です。とても柔らかく、普通に使っても1年くらいですり減って使えないレベルになってしまいます。保険診療の入れ歯としても安価な材料として扱われており、自由診療で使われることはまずありません。
陶歯
セラミックで出来た人工歯です。かぶせものだと、セラミックが良いイメージがありますが、人工歯の場合は割れたり、入れ歯のピンクのプラスチックと引っ付かないという性質が非常に悪く、今はほとんど使われていません。
パーツを選ぶ以外の細かな設計も行います。
残っている歯の状態や、上下のかみあわせを考慮すると、部分入れ歯の設計は他の人と同じようになるということはなく、全ての患者さんに対して完全にオーダーメイドです。残っている歯への負担を減らしたり、よく噛めて違和感が少なく、見た目も良い入れ歯を作るために専門的な設計を行っています。