大阪市都島区の大阪精密入れ歯治療室。エビデンス(EBM)と実際の臨床。

部分入れ歯

エビデンス(EBM)と実際の臨床

エビデンスに基づく治療が重視されていますが、その問題点・限界を解説いたします。

エビデンス(EBM)と実際の臨床での関係性について

エビデンス(EBM)について、以下のページで色々と説明いたしました。良い点もあり、悪い点もありということで、EBMと実際の臨床の関わり方について、当院での考え方を説明していきます。

EBMは有用ですが、うのみにしてはいけないと考えています。

EMBは、世界中の研究者による研究論文を集めて、その論文を根拠とする医療であり、それは神様にお祈りすれば病気が治るといった根拠のない医療と比べて、やはり治療の成功率や安全性を向上させるためにとても有用であると考えております。但し、EBMも人間が行うことであり、様々なバイアスが介入するため、研究論文の結果を疑う目が当然必要だと思います。

EBMが重要だと感じている治療について。

例えば、精密根管治療について、世界的に認められている根拠のある治療をきっちり行えば、研究論文で発表されている治療と同等の成功率が当院では出ていると体感しております。勿論、根尖性歯周炎が100%治るということはEBMにおいてもありえないことなのですが、手抜きの根管治療より明らかに成功率は上がります。これは、EBMの積み重ねの結果です。

歯科医師としては、当然、EBMに基づいた治療を行えるだけの知識と技術を持たなければいけません

※健康保険では、医療費削減を優先しすぎて、コスト的にEBMを実行しづらい状況になってしまっています。質が良いからではなく、銀歯(金銀パラジウム合金)のコストカットのためにハイブリッドレジンCAD /CAM冠やチタン冠など妥協の産物ばかり保険適用にしていることからも明らかです。

EBMの限界を感じる治療について。

例えば、入れ歯治療など、そもそも研究論文が少ない分野になると、歯科医師の経験といった不確実なものが治療の質に与える影響が増えてしまいます。基本となる入れ歯の設計はEBMに基づきながらも、特に患者さんの快適性に関わるような論文にしづらいことに関しては、歯科医師の経験がものを言います。

また、精密根管治療を行っても、残念ながら結果が出なかった歯に関して、抜いたほうがいいのか、病気が完治していなくても残した方がよいのか、患者さんの歯に対する価値観によることはEBMにありませんので、患者さんに考え方に合わせて、治療を行うということになります。EBM的には抜歯適用のぐらぐらの歯でも抜きたくないと言われれば、EBMではなくても、論理的に考えて、可能な限り快適に過ごせるような処置を行うということになります。

医療は患者さん自身が健康的な生活を送るためのサポートをするもの。

医療は、あくまで患者さん自身が健康的な生活を送るためのサポートをするものです。EBMのルールに従った治療を行うことが患者さんの希望をかなえられるならそうすればよいし、EBMに反している治療であっても、患者さんの希望をかなえられるならそうすればよいと考えています。(もちろん、無駄な治療は行ってはいけません。)

EBMで考えると、タバコは明らかに体に悪い(歯周病にも悪い)ので、止めた方が良いです。しかし、タバコを吸うことが生きがいで吸いたい患者さんに対して、それを止める権利は医師や歯科医師にはありません。(歯周病治療の際には、タバコも増悪因子のひとつであるという説明はします。)

医療の押しつけはいけません。

決して、医師や歯科医師が医療を受けることに関して、患者さんに強制したり、圧力をかけてはいけないと考えています。また、EBM通りの治療をすることばかり重視し、肝心の患者さんの希望により添えなければ、誰のための治療なのかわからなくなってしまいます。

医学の限界。無理なものは無理。

テレビなどで最先端医療技術の紹介がされていたり、医療ドラマで医師がかっこよかったりします。そんなこともあり、医療は凄いもので、それを扱う医師はヒーローみたいな感じになっている所があると思います。

しかし、実際は人体についてわかっていないことは多すぎて、医療が介入できることは本当に限定的です。

歯科では、むし歯菌も歯周病菌も全く撲滅できません。まだむし歯で溶けた歯は戻せませんし、歯周病で溶けた骨も殆ど戻せません。失った歯は人工物で補い、グラグラになった歯は基本的には抜くしかありません。治療した歯が永久に持つなんてことは中々ないことです。進歩はしていますが、根本解決とは程遠い状況です。EBMに基づいてベストを尽くして治療を行ったとしても、結果が出ないことはどうしてもあります。

医学の限界は受け入れた上で、患者さんが出来るだけ快適に毎日過ごせる(QOLの向上)ように医療を提供していくことが大切だと考えております。。

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