大阪市都島区の大阪精密入れ歯治療室。エビデンス(EBM)の問題点。

部分入れ歯

エビデンス(EBM)の問題点・限界

エビデンスに基づく治療が重視されていますが、その問題点・限界を解説いたします。

エビデンス(EBM)は完璧ではありません。

医療におけるエビデンスとは、科学的研究結果に基づいた治療であり、具体的には一定の基準を満たした信頼できる研究論文を元に治療方法を決定し、行っていくことです。EBMは、とても良いことに思われますが、問題点も沢山あります。このページでは、EBMの問題点について、説明していきます。

EBMの元となる研究論文の信頼性の問題

EBMは研究論文によって、行われるということは説明しました。その元となる研究論文は、どのように作られるのでしょうか。

研究論文を作る機関について。

研究機関ということになりますが、例えば、大学や研究所であったり、企業(例えば製薬会社)などがあったりします。また、企業が大学などの研究機関に依頼するといったケースもあるでしょう。そして、その研究機関に所属する研究者によって、研究はなされています。

研究者や製薬会社によるバイアスが存在する。

例えば、大学の研究者であれば、インパクトの強い論文を作ることで、出世することが出来ます。そのため、研究結果は、例えば今までとは違った画期的な治療法・薬・材料の効果を証明したいものであって欲しいわけです。また、製薬会社は、薬の効果が高い方が当然利益が高くなるでしょうから、薬の効果を過大評価しがちになります。

研究者の方が全て無欲であればいいのですが、そんなわけはなく、やはり出世はしたいし、お金儲けもしたいわけです。そのため、研究結果は、どうしても研究者にとって、有利な結果を導きたいという気持ちが反映されがちです。

実際、論文を細かく読んでみると、研究結果を良くしたいがための細工がなされていることがわかることがあります。

都合のいい研究論文ばかり集めて、自分の利益になるような主張も出来る。

様々な立場から研究論文が作られ、日々公表されています。自分に利益が出るような主張の裏付けをするような研究論文を集めて、公平でない主張をすることも出来ます。

例えば、インプラント治療を推し進めたい方(研究者・製薬会社・歯科医師など)がインプラント治療に対して有利な論文ばかり集めて、不利な論文を見なかったことにするといったことが起こりえます。

研究論文自体に対する疑いの目が大事です。

臨床医(特に開業医)は、自身では研究することもあまりありませんが、研究論文に対して鵜吞みにせずに

評価する目を持たなければなりません。

そして、研究論文が正しいかどうかは、多数決では決まりません。みんなで間違っているということがありえるからです。

研究論文を作りにくい事柄もあります。

客観的に評価しやすい事項は、研究対象にしやすいです。例えば、数字(治療の成功率・材料の強度)や状態の有無などです。逆に、主観的な要素が強い事柄(歯の見た目の美しさ・入れ歯の快適性)は研究論文を作りにくいです。

研究論文がないということは、EBMに基づいた治療が出来ないということになりますが、それが必ずしも悪いということではなく、個々の医師が論理的に考えて、治療を行うことになります。

入れ歯治療に関しては、エビデンスがかなり乏しい分野です。エビデンスや理屈を踏まえた上で、さらに歯科医師と歯科技工士の経験が大きく影響します。誰でも手順通りやれば良い結果が出るというわけではありませんので、入れ歯治療の難しい点です。

当たり前のことは研究論文にならない。

当たり前のことは研究論文にはなりません。極端な話ですが、真冬に裸で外を歩いたら体調を崩すということは、当たり前すぎて論文にはなっていないでしょう。冬には防寒するということは、当たり前すぎてEBMはありませんが、健康にとって大事なことは確かです。EBMにこだわりすぎると、こういった落とし穴にはまってしまうことがあります。

研究論文では未来のことはわからない。

研究論文で確実なことは、過去のことです。未来の予測をすることは出来ますが、それは確実なことではありません。

EBM至上主義に注意する。

EBMは考え方自体は素晴らしいし、基本的には参考にするべきだと思います。しかし、EBMにも限界があり、EBMに従ってさえいれば患者さんが健康になり、幸せになれるというわけではありません。

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