ゴシックアーチ検査の解説
ゴシックアーチ検査とは、上下の顎の位置関係・下顎の動きを精密に調べる検査です。概要につきましては別ページゴシックアーチ検査の項目で説明を行いました。
具体的には上顎に装着する装置に描記板、下顎に装着する装置に描記針があり、下顎を前後左右に動かすことで、描記板に下顎の運動した軌跡が記録されます。(左図)前後運動は上下線、左右の運動はそれぞれ斜めの線を描き、リラックスしてカチカチした運動を赤の点で記録します。理想的には、左の図のようにきれいな矢印の頂点にカチカチの点が一致していると顎の関節が安定していると診断されます。
ゴシックアーチの例1
実際の検査の例を見てきます。左の写真では、少し乱れてはいるものの、比較的矢印はきれいにかけていて、カチカチ運動の点もそれほどバラつきなく記録されています。
これくらいの検査結果であれば、顎の関節の運動に関しては、それほど大きなトラブルはなさそうだと診断されます。
人工の歯の噛む面の山をしっかり作っても、顎がぶれて干渉することは少なそうです。
ゴシックアーチの例2
検査装置が違うため、赤と青の色が逆になっていますが、検査の内容は同じです。
矢印は例1と同じような感じですが、カチカチ運動の点が安定せずに広い範囲に見られます。これは、カチカチ運動をした時に、下顎の位置が前後左右にぶれてしまっていることを示します。入れ歯を作るときに、このぶれている範囲内でどこで噛んでも大丈夫なように、人工の歯の噛む面の山を少し落として調整する必要があります。
ゴシックアーチの例2
この検査結果は、矢印自体がかなり乱れていて上手く書けていないのと、矢印の先端とカチカチ運動の点がかなり大きく離れていることが特徴です。この方は、下顎の位置が前後で大きくずれる癖をお持ちで、二態咬合と言われています。
ここまでくるとかなりの難症例で、二か所あるかみ合わせのどちらをメインで噛む場所として決定するかということや、もし癖が出たときにどのようにかみ合わせるかなど、様々な状況を想定して対策を取って入れ歯の設計を行う必要があります。