根管について。
歯の神経の組織が入っている根っこの管のことを根管と言います。根管は、非常に複雑な形態をしており、また個人差も大きいです。根管治療の基本として、根管内を可能な限り見落としなくきれいにすることが、治療の成功率を上げることにつながります。
根管治療を行う上で、根管の状態(数や形)をしっかり把握することは、必要不可欠です。そして、そのために必要な技術や機材ということも大事な要素になってきます。
根管の数や形態などについて、説明いたします。
歯の神経の組織が入っている根っこの管のことを根管と言います。根管は、非常に複雑な形態をしており、また個人差も大きいです。根管治療の基本として、根管内を可能な限り見落としなくきれいにすることが、治療の成功率を上げることにつながります。
根管治療を行う上で、根管の状態(数や形)をしっかり把握することは、必要不可欠です。そして、そのために必要な技術や機材ということも大事な要素になってきます。
歯の種類によって、根っこの数や根管の数は異なります。大まかには、前歯の方は1~2本のことが多く、奥歯は3~4本のことが多いです。また、根っこの数は1本でも、根管はその中に2本以上あるということも珍しくありません。根管の数は個人差があるため、しっかり探さないと見落としてしまう可能性があります。
例えば、上顎の前から6番目の大きな奥歯の近心頬側根という根には、1本の根っこの管に2本の根管がある確率が55%ありますが、非常に多くのケースで見落とされており、当院で再治療の原因となっております。
治療するにあたり、根管はあると思って探さないと見落とします。根管の数についての細かい解剖学的な知識は非常に大切です。
左図のように、2本の根管がつながろうとしたような溝が出来たり、根管の横に根管が退化した溝があったりすることがあります。これらをイスムスとフィンと言います。細い溝ですが、根管本体と同じく、その部分に細菌感染を起こすと病気になってしまうため、出来る限りお掃除や消毒が必要です。
歯根や根管の断面が一般的な円形ではなく、樋状(雨どいのとい)になっている場合、これを樋状根と言います。英語では、C shaped root canal(C型の根管)と言います。歯が出来る際、複数の根管が引っ付いて出来るものです。イスムスが連続で出来ているような状態です。
樋状根の場合、根管の形が複雑なので、一般的な円形のファイルという道具だけではお掃除するのが困難です。お掃除するのに特殊なテクニックが必要になってきます。
根管は緩やかにカーブしている場合が多いですが、時には強く曲がっている場合もあります。ステンレスで出来たファイルという道具で根管をお掃除しますが、ステンレスは硬いために曲がっている根管には沿わず、しっかりお掃除できません。ニッケルチタンファイルと呼ばれる柔らかい金属でできた道具で根管の湾曲に沿わせて根管のおそうじをする必要があります。
根管は、歯が生えてきたときに最も大きく、それから噛んだ時の刺激やむし歯による刺激を受けたりすることで、少しずつ細くなっていきます。細くなった根管を狭窄根管と言います。根管が非常に細いため、もちろん肉眼で見つけるのは難しい場合が多く、器具も特殊な細いもの(先端の径が0.06mmのものが最も細いです。)で治療する必要があります。
レントゲンに写るのは、メインとなる根管ですが、実際の根管はCTやマイクロスコープでも確認できない枝分かれが存在しています。メインの根管を可能な限り丁寧にお掃除し、大きな汚染を取り除いた上で、細かい枝分かれ部分を消毒薬でしっかり洗浄していくことで、治療の成功率を上げることが出来ます。
根管は数も決まっていない上、複雑な形をしています。場合によっては、根管の入り口が肉眼では確認できないサイズであることもあります。治療を行う際に、出来るだけ見落としを少なくするには、CTによる根管の事前の把握とマイクロスコープによる拡大視野による治療が有効です。
従来の2次元のレントゲン写真でなく、精細な3次元画像を撮影できるCTにより、根管の数や位置を把握できるようになりました。例えるなら、地図のようなものです。精密根管治療には欠かせません。
根管は1㎜以下の太さで、肉眼ではとても丁寧に治療することは出来ません。根管の見落としを防いだり、狭窄根管の治療、根管内の汚染の確認など、精密根管治療には欠かせません。
根管は多かれ少なかれカーブしています。カーブに沿った根管のお掃除を行うには、良く曲がる金属で出来たニッケルチタンファイルが有効です。