歯の状態と治療の難易度の関係性について。
考えてみれば当然の話ですが、状態が悪い歯ほど歯を残すために手間暇かけて治療をしなければいけませんが、成功率自体は状態の良い歯より下がってしまいます。
歯の状態と治療の難易度の関係性について説明します。
考えてみれば当然の話ですが、状態が悪い歯ほど歯を残すために手間暇かけて治療をしなければいけませんが、成功率自体は状態の良い歯より下がってしまいます。
以下、歯の状態と治療の難易度の関係について、具体例を出して計算してみます。
病気がなく、治療の介入が不要の歯は、治療をしなくてもしばらくその歯が問題なく機能する可能性は非常に高いです。例えば、10年後にどれくらいの確率で歯が残っているかということを考えると、研究データは特にありませんが、常識的に考えて、95%くらいは残っていると考えて良いでしょう。その間、何の治療もしなくてよい可能性も高いでしょう。
小さいむし歯があって、コンポジットレジン充填などの処置が必要な状態の場合、歯に対する処置が失敗して歯に致命的なダメージを与える可能性は非常に低く、この場合も10年後に歯が残っている可能性は95%くらいはありそうです。治療の介入は必要でも、歯を失う可能性はとても低いです。
大きなむし歯で神経を取らないといけ亡くなった歯に関して、精密根管治療の成功率(10年程度病気がない状態を成功とする)が色々な研究データで90%程度です。精密根管治療をすれば、10年後に90%くらいの確率で歯は残ってそうですが、そこそこ大掛かりな精密根管治療という介入は必要です。また、精密でない根管治療だと、もしかすると10年後に歯が残っている可能性はもっと少なくなってしまうかもしれません。
根っこの病気(感染根管)になってしまった歯に関して、精密根管治療の成功率(10年程度病気がない状態を成功とする)が色々な研究データで70%程度です。逆に言えば30%は治らず、場合によっては、外科的歯内療法という次の処置が必要になる可能性があります。外科的歯内療法の成功率は80~90%程度と言われていますが、大掛かりな処置を行ってやっと、初回の神経を取る処置を精密根管治療で行った際の成功率に近づくということになります。
根っこの病気(感染根管)になってしまった歯に関して、精密根管治療の成功率(10年程度病気がない状態を成功とする)が色々な研究データで70%程度です。逆に言えば30%は治らず、場合によっては、外科的歯内療法という次の処置が必要になる可能性があります。外科的歯内療法の成功率は80~90%程度と言われています。計算してみると、大掛かりな処置を行ってやっと、初回の神経を取る処置を精密根管治療で行った際の成功率に近づくということになります。
歯根破折を起こしてしまったら、原則は抜歯適用ですが、例えば歯の接着を伴った意図的再植術などで歯を残すチャレンジをすることは可能です。外科処置になりますが、成功率は70%程度で、5~10年後に骨性癒着という状態になって、急に歯が取れてしまったりする恐れもあります。歯の状態が悪くなれば、大掛かりな処置が必要になりますが、処置の成功率は下がり、失った歯質は元に戻りません。
現実的には、完全にむし歯や歯周病を防ぐことは難しいですが、歯のお手入れ、生活習慣の改善により、極力病気にならないように予防することは大事です。もし病気になったとしたら、可能な限り質の高い治療を受けるべきです。質の低い治療により、失敗してしまったら、再チャレンジするときは質の高い治療をしたとしても、成功率は下がってしまうからです。