歯科外来診療環境体制加算(外来管)届出は安全な歯科医院の基準ではありません。
以下、外来管についての説明です。(歯科医療情報推進機構より抜粋)
歯科医療機関は、患者さんが不安や緊張、様々な身体的ストレスなどによって、治療中に体調が悪くなるなど、万一の緊急事態が起こった場合に適切に対応できなければなりません。
そのため、AEDなどの医療機器を備えたり、予め医科医療機関と密接に連携するなど、患者さんが、安心・安全に歯科医療を受けられるような体制を整えておく必要があります。
また、医療事故を未然に防ぐため、適切な研修を受けた常勤の歯科医師が配置されていなければなりません。
歯科外来診療環境体制加算とは、そのような基準を満たしていることを、厚生労働省地方厚生(支)局に届出ている歯科医療機関が初・再診料に加算する点数です。
外来管の届出は非常に甘いです。
以下が外来管の算定の条件ですが、ひとつひとつ見ていきましょう。
- 所定の研修を修了した常勤の歯科医師が、1名以上配置されていること。
→ 所定の研修とは、院内の安全や滅菌に関するたった1日の研修です。特に試験などはありません。参加していれば話を聞かずに寝ていてもOKです。 - 歯科衛生士が、1名以上配置されていること。
→ 大抵の歯科医院には歯科衛生士が1名はいます。 - 緊急時の初期対応が可能な医療機器(AED、酸素ボンベおよび酸素マスク、血圧計、パルスオキシメーター)を設置していること。
→ これらの機器をすべて合わせて25万円くらいで購入できます。そんなに高額ではありません。また、届出時に購入しているかどうかのチェックはありませんので、買ってないのに買ったことにしておくことも出来ます。 - 診療における偶発症等緊急時に円滑な対応ができるよう、別の保険医療機関との事前の連携体制が確保されていること。
→ 近くの医科の病院などに電話をして連携をお願いするだけです。 - 口腔内で使用する歯科医療機器等について、患者ごとの交換や、専用の機器を用いた洗浄・滅菌処理を徹底する等十分な感染症対策を講じていること。 → チェックは全く何もありません。
- 感染症患者に対する歯科診療について、ユニットの確保等を含めた診療体制を常時確保していること。
→ これは感染症患者専用のユニットを確保しているかという条件ですが、そもそも感染予防の考え方としては、全ての患者は隠れた感染症を持っているとして対策をする(スタンダードプリコーション)ことなので、感染症患者(全ての患者の感染症検査を行うことはできないので、患者の自己申告でしかありません。隠されたらお終いです。)を特別に扱う方法は前時代的であり、厚生労働省がこの考え方で良しとしていること自体が最悪です。 - 歯科ユニットごとに歯牙の切削や義歯の調整、歯の被せ物の調整時等に飛散する細かな物質を吸収できるよう、歯科用吸引装置等を設置していること。
→ 口腔外バキュームという装置を30万円程度で購入するだけです。届出時に特にチェックはありませんので、買っていないのに買ったことにしておくことも出来ます。また設置は条件ですが、使用は条件ではありません。設置しておいて、オブジェとして飾っておいても良いということです。
外来管の届出をしていない歯科医院よりは、届出をしている歯科医院の方がましなのかもしれませんが、実際には全ての事項についてチェックが甘すぎるため、それだけでは何の目安にもなりません。患者さんの立場からすると、ちゃんと患者さんに対して安全な環境を提供委しているかどうか、何かの肩書や目印で判別出来ればいいのですが残念ながらそう簡単ではありません。
歯科医院のWebサイトの記述をしっかり読み込んだり、または実際に歯科医師に確認をしてみるなどして、ご自身が納得できる歯科医院を受診されることをお勧めいたします。