大阪市の山下歯科。歯の痛みについて。

入れ歯とインプラントの比較

長持ちの基準

歯の治療がどれくらい長持ちするかについて、説明いたします。

歯の治療について、長持ちとは?

患者さんによくきかれる質問として、「治療(根管治療・かぶせもの)すれば、この歯はどれくらい持ちますか。」と尋ねられることが多いです。この問いに対する答えは非常に難しく、色々なことを考えてなくてはいけません。

長持ちの基準について

長持ちの基準について、色々な考え方があります。

持っていると言える状態の基準

どのレベルであれば、持っているといえるのか、ある意味成功の基準によって変わってしまいます。

例えば、症状が一切出ずに、軽度の炎症も許さない(厳しい基準)なのか、たまに症状はでるが、食事がほどほどに出来て、日常生活にそれほど大きな支障がなければよい(ゆるい基準)のか。

他の例では、かぶせものがむし歯が再発せずに完璧な状態で機能していないとだめ(厳しい基準)なのか、かぶせものが口の中に残っていれば、多少破損していたり、小さいむし歯が出来たり、トラブルがあったとしてもよし(ゆるい基準)とするのかという基準にするのかで意味合いは全く違います。

この基準をどこに設定するかはとても大事で、厳しくすればするほど、基本的には介入の強度が上がります。例えば、つめものが脱離するリスクを減らすには、歯を大きく削って外れにくいかぶせものにすればよい。神経を取らずにかぶせものをしたときに知覚過敏症になるリスクをなくすには、神経を取ってしまえばよい。根管治療後の病気の再発のリスクを減らすには根管治療をせずに歯自体を抜いてしまえばよい。歯が割れるリスクをなくすには、神経を取った歯は全て歯を抜いてしまえばよい。色々な考え方がありますが、果たしてそれが健康へつながっているのかどうかを考えると、私はやり過ぎは良くないと思います。

トラブルへのフォローのしやすさ

また、トラブルが起こったとしても、フォローが簡単か困難かという違いもあります。例えば、インレー修復が破損してしまうと型取り・かみ合わせの記録からセットまで1からやり直しですが、コンポジットレジン修復がかけても、かけた部分を補修して終わりです。その他、ブリッジやインプラントが破損するとインレーと同じく大掛かりな処置になりがちですが、入れ歯が破損しても部分的に修理するだけなど、メンテナンスの内容も変わってきますので、単純な比較が難しい面もあります。

長いと言える基準

ここは患者さんサイドと歯科医師サイドで大きく分かれるところです。患者さんサイドとしては、「10年くらい」持ってくれたらよいと10年持つことは普通の事むしろ10年は短い期間という認識が多いような感覚です。しかし、歯科医師の立場からすると、状態の悪い歯をトラブルなく10年持たせることは中々難しいことであるという認識になります。

研究論文の長期経過観察にしても、5年~10年に設定しているものが多く、10年持てば大成功という認識が普通です。

最終的には個人差になります。

当院も開院して10年以上たち、処置後の経過も診ておりますが、うちで行った大抵の処置において、研究論文で言われているような成功率はおおむね達成できていると思います。例えば、セラミックのかぶせものを1,000本以上は入れていますが、破損したのは私が把握しているのは今のところ5本程度です。当院全体で見れば、高い成功率で長期的予後もよいと言えますが、破損した患者さんにとっては、そのかぶせものは長持ちしなかったということになってしまいます。